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2006年11月12日 (日)

吉見義明「従軍慰安婦」分析(4)

資料が入手できなかったためだいぶ間隔が空きました。申し訳有りません。

さて吉見教授の著書分析を続けましょう。

「政府は何を認めていないか」
1.運用の主体が業者であったかのような書き方は問題である。
2.アジアの他の地域の慰安婦についての言及が足りない。
3.お詫びは述べているものの、補償などを言っていない。
のうちで、2.についてから再開します。

慰安婦は朝鮮半島出身者のみで占められていた訳ではありませんから、このような談話を出すのであるなら他の地域の慰安婦について言及するのが当然でしょう。
河野談話では

戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。

としています。
吉見教授は他のアジア地域についてどう捉えているのでしょうか。
P81~84でその辺りを詳しく述べておられます。

 公文書によって確認されているかぎりでは、日本人・朝鮮人・台湾人・中国人・フィリピン人・インドネシア人・ベトナム人・ビルマ人・オランダ人が、慰安婦として徴集されていた。
オーストラリア人看護婦が慰安婦となるよう強要されたことも、オーストラリアの公文書によって明らかになっている。だが、旧軍人の回想録によれば、インド人やシンガポール・マレーの華人も慰安婦にされたことがわかっているから、これ以外に、日本軍が占領した各地域で、地元の女性たちが、慰安婦にされたと思われる。
 慰安婦の民族別の比率はどうだったか。直接、それを示す資料はない。多少なりとも傾向をうかがうことができるのは性病関係の統計である。
 大本営陸軍部研究班「支那事変に於ける軍紀風紀の見地より観察せる性病に就いて」は、1940年までに性病にかかった中国出征陸軍軍人一万四七五五人であるとし、性病感染時の「相手女」として次のような数字をあげている。すなわち、「朝鮮人」四四〇三人(51.8%)、「中国人」三〇五〇人(36.0%)、「日本人」二四一八人(12.2%)である。
(中略)
だが、次のような統計もある。南京にいた敦賀第15師団軍医部の「衛生業務詳報」
によれば、四三年二月に軍医部が検診した慰安婦は一回当たり、平均で次のようになる。
・南京 日本237 朝鮮13 中国139 
・蕪湖 日本32   朝鮮26  中国40 
・鎮江 日本3    朝鮮 0   中国36
・金壇 日本0    朝鮮 5  中国6 
・巣県 日本0    朝鮮4   中国30 
・漂水 日本0    朝鮮0   中国10 (漂水は原文はさんずいに栗)
南京では日本人慰安婦が集中しているが、それを除くと、中国人一二二名・朝鮮人三五名・日本人三五名となり、中国人の比率が圧倒的なのである。また、日本人慰安婦は大きな都市中心であり、朝鮮人慰安婦は日本人慰安婦がいない金壇・巣県にも連れていかれている。中国人慰安婦しかいない漂水のような町もあった。こうしてみると、中国人慰安婦の数は、考えられている以上に多いのかもしれない。


この件に対して、秦郁彦さんはどのような事を書いているのか見てみましょう。
「慰安婦の民族別構成は?」という項に詳しく述べておられます。
さすがに書写がキツイのでスキャナ画像を貼らせていただきます。
Photo_19
「慰安婦と戦場の性 P407より」
このような資料検討の末、推定ですが概数を、日本人4-現地人3-朝鮮人2-その他1としています。ここで中国人は現地人のカテゴリに含まれています。

朝鮮以外の地域の慰安婦も非常に多かったことは間違いないように思えます。
言及が足りないといいますか、吉見教授も秦教授も、ここまでの結論を導き出すのには相当時間がかかっています。
吉見教授の著書が出版されたのは宮沢首相の謝罪から四年後、秦教授の著書については八年後です。「言及が足りない」と言われてもそんなに早くは全体像はつかめなかったのが正直な所でしょう。
精密な調査の結果、日本軍の罪が明らかになって、それが他の国の多くの女性の人生を奪ったのだとしたら、わかった時点で率直に言及どころか謝罪するのは当然でしょう。
しかしくどいですが自分から慰安婦になった場合、業者に騙された場合などは関係ありません。

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