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2006年10月 1日 (日)

河野談話分析(6) 朝日新聞の報道

さて1992年1月11日の朝日新聞の報道について分析してみましょう。
秦郁彦さんは著作の中で1/11と述べていますが、九州版では1/12の朝刊で報道されています。
社会面トップに「従軍慰安婦、軍が監督」とありまして「防衛庁図書館に極秘文書」「募集や慰安所を統制」「軍関与、否定できぬ」「官房長官政府答弁を転換」と見出しが続きます。

リード文の全体をご紹介します。

「日中戦争や太平洋戦争中、日本軍が慰安所の設置や、従軍慰安婦の募集を監督、統制していたことを示す通達類や陣中日誌が、防衛庁の防衛研究所図書館に所蔵されていることが十日、明らかになった。朝鮮人慰安婦について、日本政府はこれまで国会答弁の中で「民間業者が連れて歩いていた」として、国としての関与を認めてこなかった。昨年十二月には、朝鮮人元慰安婦らが日本政府に補償を求める訴訟を起こし、韓国政府も真相究明を要求している。国の関与を示す書類が防衛庁にあったことで、これまでの日本政府の見解は大きく揺らぐことになる。政府として新たな対応を迫れれるとともに、宮沢首相の十六日からの訪韓でも深刻な課題を背負わされたことになる。」

この報道は、1990年6月6日、参院予算委員会での清水局長の失言につけ込んでの主題のすり替えであることを既に昨日のエントリーで述べました。
もう少し詳しく述べます。資料を発見した吉見教授は著作の中でこう述べています。

「わたしは91年3月まで、二年間にわたってアメリカに留学していたため、このような政府答弁が問題となっていることをよく知らなかった。だが、政府答弁の虚妄はあきらかであった。
実際、わたし自身、留学まえに、日本軍が軍慰安所設置を指示した公文書を防衛庁防衛研究所図書館で確認していた。金学順の発言を聞いて、あらためてわたしは同図書館に通い、関連文書を探した。そして、隠滅を免れた六点の資料を発見し、新聞に公表することができた。」
従軍慰安婦 岩波新書より)

この件に対して秦教授はこう述べています。

「防研図書館の『陸支密大日記』は三十年前から公開されていて、慰安婦関係の書類が含まれていることも、軍が関与していたことも、研究者の間では周知の事実であった。亜韻書を利用した軍人の手記や映画やテレビドラマのたぐいも数多く、この種の見聞者もふくめれば、軍が関与していないと思う人の方が珍しかったろう。それをやや舌足らずの国会答弁に結びつけて『国としての関与を認めてこなかった』とこじつけたのはトリックとしか言いようがない。」

「わたしはこの頃、他のテーマで防研図書館へ通っていて、旧知の吉見氏から「発見」「近く新聞に出る」話も聞いていたが、ニュースになるほどの材料かなあと疑問を持った記憶がある。その後、一向に新聞に出ないので、どうしたのかなと思っていたところへ1月11日、くだんの大騒動となったわけだ。」

1990年6月の参院予算委で社会党の本山議員が質問するまでは、「慰安婦を本人の意思に沿わない形で強制連行したのか?」が主題でした。
しかしこの日以降はすっかり、質問に対して清水局長が述べた「民間の業者がそうした方々を軍と共に連れて歩いている」という部分の真偽に争点が移ってしまって話が拡散してしまいました。

日本政府の失策を狙う朝日新聞や高木弁護士等は主題は何でもよかったのです。
日本政府が失敗してそれを「日本がアジアの他の国々へ被害を与えたのだ」と言い張れればそれでよかったのだと私は考えています。
朝日や高木弁護士が今さら共産主義革命を夢見ていたとも思いません。
東西冷戦の終焉、旧ソ連の崩壊などから共産主義革命が非現実化してくるにつれて、政府への攻撃は、共産主義革命という目的が先にあっての「革命のための攻撃」から「攻撃のための攻撃」と変質してしまったのだと考えています。

私が今でも出入りする日韓翻訳チャットの先輩から、下のようなページを教えていただきました。
(苛烈な表現が多いので覚悟して見て下さい)
http://bbs.enjoykorea.jp/tbbs/read.php?board_id=ttalk&page=5&nid=433120
冒頭に掲げてある資料自体は吉見教授の著作を見てみると確認できるもので目新しいものではありません。
注意してみていただきたいのは日韓の意見がすれ違っている点です。
応酬をよく見てみると日本側と韓国側の論点は完全に違います。
日本人は主に「強制連行じゃないだろう?業者が求人募集をしているんだろう?」と発言しているのにたいし韓国側は「日本が関わっていたことは間違いないんだから言い逃れをするな!」という主旨の発言が多いのです。

このように、論争の主題が途中から歪められた形でこの慰安婦問題はエスカレートしていきます。
エスカレートの具合をまた次回より紹介していきます。

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