« チャットで韓国人に聞いてみました | トップページ | 慰安婦関連ニュース »

2006年10月 7日 (土)

吉見義明「従軍慰安婦」分析(2)

20020531sakurai

序章の「問題の浮上」続きです。

秦教授の著書によると
「日本軍の関与は誰でも想像でき得ることで、関与を示す文書も研究者なら誰でも知っていることだ。今さらニュースになるようなことではなかった」という主旨の事を言われていますが吉見教授の側は違う主張をされています。

なぜ隠滅されたはずの資料が残っていたのだろうか。これらは、敗戦直前、空襲を避けるために八王子の地下倉庫に非難させておいたため、連合国軍に接収されてアメリカにわたり、のちに返還されて防衛庁防衛研究所図書館に保存されていたのだが、この資料群の中に慰安婦関係の資料があるとはだれも思わなかったために、見過ごされていたのである。

はて、秦教授は「周知の事実だった」というこの資料、吉見教授は「あるとはだれも思わなかった」と書いています。どちらが本当なのでしょうか。
防研図書館がどういう場所なのかわかりませんが、こちらを見る限り、申込用紙を書けば誰でも調べ物ができる所のようです。
その図書館にあった資料を、一人は「研究者なら誰でも知っていた」と言うし一人は「あるとは誰も知らなかった」と言っています。
秦教授が嘘を言っている可能性もありますし、吉見教授が「他の人は知らなかった」と思っている可能性もありますが、私は吉見教授も朝日新聞と同じく、清水局長の失言を最大限に利用したい心理が働いていたのじゃないかと思っています。
隠滅の意図があったかどうかに関しては、いくら調べたところで白黒がハッキリ決着する問題ではないため、結局最後は「私は隠滅し忘れだと思っている」「私はそう思わない」みたいな話になってしまうと思います。

水掛け論になってしまう事なのでこれ以上は控えますが、ジャーナリストの櫻井よしこさんが、このとき当事者であった石原官房副長官にこのような取材をされています。
当事者サイドの意見としてそれをご紹介いたします。

石原信雄氏に「本当にそういう資料はないんですか」と聞きました。
敗戦の時に、役所で都合の悪い書類を山のように積み上げて燃やしていた、と言う証言はいくらでもありますから。しかし石原氏は「あくまで推測だけれども、それは不可能だと思う」と答えました。
「終戦当時は、(慰安婦について今日のように厳しく批判的な)問題意識はなかったんですから、(慰安婦関連の公文書や資料を)全て処理したとは、理論的に考えにくい。米軍に狙われたのは、特に特高警察、思想犯に関する資料ですね。炭鉱などへの労働者の強制連行の資料も、焼かれたものもあったようですが、それでも労働省や厚生省、それに地方の役所などから(戦後になって)出てきてますからね。慰安婦関連で、強制募集、強制連行の部分だけを全て処理したことはあり得ないと思います」
原氏はそう言うんです。
それに対して私は「省庁が資料を隠しているとは考えられませんか?」と訊ねました。それに対して石原氏は「そこまで疑ったら、やっていけません」と憮然として応じました。
「でも、HIV訴訟では厚生省は資料を隠しましたよ」と重ねて尋ねると、石原氏は「薬害エイズのときには、総理大臣や厚生大臣が出せと言ったのを隠したわけではない」と答えました。(略)
当初、厚生省は裁判が始まった1989年から和解成立の1995年まで六年にわたって都合の悪い資料を隠していました。いくら弁護団が請求しても出さなかった。ところが菅厚生大臣が一言「出しなさい」と命じて、隠したりしたら、厚生官僚一人一人の責任を問うという姿勢を見せると、たちまち、危険な非加熱製剤を放置していたことに厚生省が関与していたことを示す資料が山のように出てきました。
つまり、従軍慰安婦の資料に関して、宮沢首相、河野官房長官が「出しなさい、集めなさい」という命令を出したにもかかわらず、関係各省庁が隠すことはあり得ない。そこまで疑ったら日本は国家として機能しない、と石原氏は言うのです。官僚的な発想ではありますが、説得力がなくもない。

薬害エイズの時の状況と慰安婦問題の時の状況を比べてみると、薬害エイズの時の方が、官僚としては隠したい意識は強く働いていたのではないでしょうか。
薬害エイズの時は、非加熱製剤を続行して使った時の責任者もまだ省庁内に在職していたはずです。当然隠したいという気持ちは働いていたでしょう。しかし菅大臣の「出しなさい」で出てきた。
慰安婦問題で、もし日本軍が強制連行していたとしても、戦後46年も経った状態で当時の関係者が在職していたとは思えません。
さらに言うと所轄の大臣だけでなく総理大臣と官房長官も「出しなさい」と言っているわけです。
これで「隠していない」という証拠になるとは思えませんが、私個人も、この問題が顕在化する前に、漫画などで日本軍と慰安婦の事を扱ったものを読んでおります。とても軍が無関係など想像できない描かれ方でした。
漫画を根拠にしたりしたら怒られそうですが、秦郁彦さんの調べた限りでは、1950~1960年代に多数の文学作品が慰安婦のことを描いていたようです。
・田村泰次郎「春婦伝」
・山崎朋子「サンダカン八番娼館」
・辻正信「十五対一」
・品野実「異域の鬼」
・玉井紀子「日の丸を腰に巻いて」
扇情的に描いたものも多かったようです。「身の毛もよだつ娘子軍の話」「軍需品の女」「売春婦となった従軍看護婦たち」
この本の中を確認したわけではありませんが、慰安婦と軍が関わりがあったというのは、当時戦場にいた誰もがわかっていたことだったのではないでしょうか。

何かを感じたらクリックお願いします→Banner2_7

|

« チャットで韓国人に聞いてみました | トップページ | 慰安婦関連ニュース »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/151026/3725820

この記事へのトラックバック一覧です: 吉見義明「従軍慰安婦」分析(2):

« チャットで韓国人に聞いてみました | トップページ | 慰安婦関連ニュース »